事例記事
「没入型(イマーシブ)季節催事」でマンネリ化を打破し、商業施設の活性化へ

背景
季節催事は、ひな祭りや七夕といったその時期の風物詩、あるいは最新のトレンドなどをテーマとし、顧客との関係構築や集客につなげるマーケティング施策です。特にハロウィンやクリスマスといった大型イベントは、商業施設などの活性化に大きく貢献する可能性を秘めています。
しかし、参加者の体験に対する期待値が年々高まる中で、単に装飾を施したり、簡易的な催しを行ったりするだけでは、他社との差別化は困難です。結果として、多くの広報・イベント担当者様は、以下のような共通の課題に直面しています。
企画のマンネリ化:「毎年同じような企画で、目新しさがない」 ノウハウ不足:「話題になるイベントを実施したいが、どうすればいいか分からない」 発注の困難さ:「具体的な企画がないため、何を発注すればよいか判断できない」 |
アズアリンクではクライアントの課題に対し、企画から伴走し、トレンドを捉えた新しい切り口の提案、本質的な課題の明確化、そしてゴール達成に向けた最適なイベントプランを設計・実行します。
本記事では、イオンモール株式会社様から季節催事に関するご相談をいただき、アズアリンクが企画・運営を手がけたハロウィンイベント「ハロウィンクエスト」「ハロウィンオブアンデッド」の事例をご紹介します。
施策概要
イベント名 | ハロウィンクエスト |
お客様名 | イオンモール株式会社 |
実施日 | 2015年10月24・25日、2016年10月29・30日 |
実施施設 | イオンモールKYOTO (複合型商業施設) |
成果・ハイライト | ・館内回遊型の没入型パレード ・RPGのようなクエスト体験 ・施設全体の一体感醸成 |
開催におすすめの会場例 | 商業施設、ホテル、住宅展示場、地方自治体の 施設など |
イベント名 | ハロウィンオブアンデッド |
お客様名 | イオンモール株式会社 |
実施日 | 2024年10月19・20日 |
実施施設 | イオンモールKYOTO(複合型商業施設) |
成果・ハイライト | ・集客に寄与 ・海外のお客様にも楽しんでもらう ・継続受注へつながる |
開催におすすめの会場例 | 商業施設、ホテル、住宅展示場、地方自治体の 施設など |
施策詳細
施策①商業施設を冒険の舞台に「ハロウィンクエスト」

実施体制図

課題
ご相談をいただいたイオンモールKYOTO様には、既存のお客様参加型イベントをさらにブラッシュアップしたいというご希望がありました。
アズアリンクでは丁寧なヒアリングを実施し、「なぜイベントをブラッシュアップしたいのか」「最終的にどのような状態を目指したいのか」といった本質的な部分を深掘りしていきました。
その結果、クライアントの潜在的なニーズとして、以下の2点が明確になりました。
他施設との差別化: 近隣の競合施設とは一線を画す、ユニークで記憶に残るイベントを開催したい。
高いクオリティの追求: テーマパークで体験するような、クオリティの高い本格的なイベントを商業施設で実現したい。
実施内容と工夫
ヒアリングを通して明らかになった「他施設との差別化」「高いクオリティの追求」というニーズを捉え、アズアリンクは「没入型・一体感・クエスト感」をコンセプトとした、パレード形式の新たな体験型イベント「ハロウィンクエスト」を提案しました。当時(2015年頃)はまだ「没入型」イベントが一般的ではなかったため、革新的な取り組みとなりました。
「ハロウィンクエスト」の成功の鍵は、営業中の商業施設という日常空間を、いかに物語性のある非日常空間へと変貌させるかにありました。当社は、「没入感」を具現化するため、細部にまでこだわったプロフェッショナルな演出を施しました。
1. 世界観の徹底構築
世界観のリアリティを追求するため、参加者を迎えるゾンビ役のメイクには映画の特殊メイク実績を持つプロを起用。商業施設の明るい照明下でも恐怖を感じさせる、本格的なクオリティを追求しました。
また、物語のナビゲーター役にはプロの弊社俳優を起用。子どもたちと接する際も決して世界観を崩さない徹底した役作りにより、参加者は自然と物語の登場人物として引き込まれていきました。
さらに、移動中や戦闘中など、RPGのように場面ごとのオリジナル音源を制作。コンパクトな移動式スピーカーをパレードの前後で活用し、施設内のどこにいても物語の世界にいるかのような音響空間を創り出しました。
2. 参加体験のデザイン
参加者を「観客」ではなく「主人公」にするため、主体的に楽しめる体験を設計しました。
RPGを意識したストーリーで、台本をオリジナルで構成し、参加者はナビゲーターと共にゾンビを倒すというクエストに挑戦。明確な目的意識を持つことで、イベントへの参加意欲を高めました。
また、 館内をパレード形式で回遊し、複数の専門店をチェックポイントとして回復アイテムをもらえるという設定としました。これにより、参加者に冒険をしているかのようなワクワク感を提供すると同時に、イベントが施設全体を巻き込む形で活性化につながりました。
3. 徹底した安全管理
エンターテインメントの土台には、安全の確保が不可欠です。特に参加者の中心が幼児から小学生であるため、安全管理体制の構築には細心の注意を払いました。
パレード中は、参加者の前・中・後方にスタッフを配置し、常に子どもたちの様子を見守りながら安全な進行を徹底。保護者が安心して子どもを参加させられる環境を整えました。
成果
1. 集客と施設全体の活性化
各回100名程度でスタートしたパレードは、館内を回遊するうちに注目を集め、最終的には150~200名規模に拡大しました。さらに、イベント期間中に複数回参加するリピーターも現れ、高い顧客満足度を示す結果となりました。
また、チェックポイントとなった専門店からは「賑やかになり、ハロウィンの雰囲気を盛り上げてもらえて嬉しい」とポジティブな声が寄せられ、施設全体の一体感醸成に貢献しました。
2.顧客満足度の向上
保護者からは「子どもが楽しんでいる姿はもちろん、クエストに挑戦し、怖がりながらも頑張ろうとする姿を見られたのは想定外の感動でした」「商業施設でこれほど本格的な体験ができるとは驚きです」といった、質の高い体験に対する感動の声が多数寄せられました。
イオンモールのご担当者様からは「クオリティが非常に高く、テーマパークに行かなくても本格的なリアルイベントが体験できる、素晴らしいイベントだ」という高い評価をいただきました。
3.ブランドイメージの向上
当時まだ珍しかった没入型(イマーシブ)イベントを商業施設で実現したことは、施設の先進性を示すことにもつながり、他施設との差別化に貢献しました。
応用可能な成功のポイント
本事例は、特定の大型商業施設だから成功したわけではありません。その成功要因には、さまざまな施設や企業イベントに応用可能なヒントが含まれています。
アズアリンクの企画は、常にクライアントの予算や会場規模に合わせてカスタマイズ可能です。例えば、役者の人数を調整したり、演出の一部を凝縮したりすることで、限られた予算内でもインパクトのあるイベントの実施が可能です。
また、「ハロウィンクエスト」の体験型コンセプトは、商業施設に限りません。例えば、住宅展示場でのファミリー向け集客イベント、ホテルの宿泊者向け特別プラン、自治体や企業が主催するお祭りなど、さまざまなシーンで応用・展開することができます。
さらに長年の実績に裏打ちされた当社の安全管理体制は、あらゆるイベントの土台となります。どのような規模・内容のイベントであっても、安心して運営をお任せいただける体制を提供します。

施策②ハロウィンオブアンデッド

実施体制図

課題
施策①でご紹介した「ハロウィンクエスト」は、約10年にわたり内容を更新しながらも、施設のハロウィンイベントとして定着していました。しかし、長期継続するイベントにはマンネリ化の懸念がありました。
また、近年、イオンモールKYOTO様には海外からの観光客が増加していました。しかし、お芝居がメインの「ハロウィンクエスト」のステージ演出では、言語の壁から楽しさが伝わりにくいという課題がありました。そこで、多様化する来場者層の誰もが楽しめる没入型コンテンツへの転換を検討する必要がありました。
このような背景から、2023年からの開催にあたり、アズアリンクからは再現性の高い運営を維持しつつ、さらなるクオリティ向上を目指した企画をご提案しました。具体的には、「ハロウィンクエスト」で培ったパレードとクエスト要素を土台としつつ、ステージショーを主体とした「ハロウィンオブアンデッド」を企画しました。
実施内容と工夫
「ハロウィンオブアンデッド」のコンセプトは、「言葉の壁を超えたノンバーバル(非言語)・エンターテイメント」。お芝居中心の構成から、ダンスパフォーマンスを主軸としたステージショーへと大きく舵を切りました。
1. 専門家チームによる制作体制の刷新
クオリティを向上させるため、制作体制を強化。従来のチームに加え、脚本・演出家、殺陣師、振付師といったプロフェッショナルを新たに招聘。専門家の視点を取り入れることで、演出の分かりやすさや視覚的なクオリティが格段に向上しました。
2. 「ダンス」を主軸としたノンバーバル演出
本施策の核となるのが、プロダンサーによるダイナミックなパフォーマンスです。「体のどこかを負傷している」といったゾンビならではのダンスの振り付けと高い表現力で物語を伝えます。言葉を介さずとも、観客が直感的にストーリーを理解できる構成としました。
また、音楽の使用量は従来の2〜3倍に増加。戦闘シーンの効果音や場面に合わせたBGMなど、まるで劇場にいるかのような音響設計を構築。役者はヘッドセットマイクを装着し、シームレスにクリアな音声で没入感を極限まで高めました。
さらに、映画クオリティの特殊メイクは踏襲しつつ、完全オリジナルのストーリーに合わせた衣装を新たに製作。限られた予算内で最大限のクオリティを実現するため、当社での内製も含めた柔軟な体制で対応しました。
ステージと客席の境界線をあえて曖昧にすることで、観客自身も物語の登場人物であるかのような一体感を創出。目の前で繰り広げられるリアルなパフォーマンスは、多くのお客様に衝撃と感動を与えました。
成果
コンセプトを刷新した本施策は、既存顧客・新規顧客の双方から高い評価を獲得しました。
1. 顧客満足度の向上とファン層の拡大
長年のリピーター様からは「ストーリーが分かりやすくなった」という声や、買い物へ訪れたお客様からは「ダンスパフォーマンスが圧巻。買い物に来てこんなに凄いものが見られるなんて」と、新鮮さに対する驚きと称賛の声が寄せられました。
狙い通り、言語の壁を超えた演出は海外からの来場者にも好評を博し、イベント後の写真撮影会には約150名もの長蛇の列ができました。
かつて小学生で参加していたお客様が高校生になり、久しぶりに本イベントに再訪し「大人になっても楽しめる」と語られるエピソードもあり、世代を超えて愛されるコンテンツへと成長したことを証明しています。
2.新たなファン層へのリーチ
テーマパークなどで活躍するパフォーマーを起用したことで、そのファンによるSNSでの情報発信も行われ、これまでリーチできていなかった層にもイベントの魅力が拡散されました。
応用可能な成功のポイント
本施策の成功要因は、他のイベント企画にも応用できる普遍的な要素を含んでいます。
ダンスや音楽、視覚効果を中心としたノンバーバルな演出は、インバウンド需要への対応や、年齢・国籍を問わない多様なターゲット層へのアプローチに極めて有効な手段です。
また、アズアリンクでは、その土地の歴史や伝説を盛り込むなど、開催場所に合わせた完全オリジナルのシナリオ制作が可能です。これにより、「そこでしか体験できない」という付加価値を創出します。
施策①と同様、本施策も予算や会場の制約に合わせて、パフォーマーの人数や演出内容を調整する縮小版での開催が可能です。メインステージがない場所でも、当社が持ち込む移動式の音響機材や簡易的な舞台装置(暗幕など)を駆使し、エンターテイメント空間を創り出します。

まとめ
ご紹介した事例から見えてくるのは、「顧客の本質的なニーズを深掘りし、高クオリティな体験型コンテンツを創造すること」が、施設の集客と活性化、そして顧客満足度を高めるカギになるということです。
アズアリンクの提供するイベント企画・運営ノウハウは、さまざまな業種・会場で応用可能です。「企画のマンネリ化」「話題性のあるイベントを実施したいけれどノウハウがない」などの課題に寄り添い、記憶に残るイベントを共に創り上げます。
お客様情報
イオンモール株式会社イオンモール株式会社は、イオングループの中核企業として、大規模地域開発およびショッピングモールの開発・運営を総合的に展開する商業ディベロッパーです。ショッピングモールの立地調査、企画・開発、建設、リーシング(テナント誘致)、運営・管理に至るまで、すべての事業領域を一貫して手掛けています。 |
お問い合わせ
季節催事の企画・運営をご検討中のご担当者様、企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

